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中国文学映画関連 備忘録

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人民中国雑誌社『わが青春の日本』

人民中国雑誌社『わが青春の日本』は、戦前日本に来た中国人の方たちが記した回想をまとめたもの。

日中関係を考える上で参考になりました。様々な歴史的背景があるとしても、中国の知日派の日本に対する理解は非常に高く、それにこたえられるだけの努力を日本側がしてきたのかと考えさせられました。

田舎で混浴の温泉に遭遇したことが驚きのエピソードとしてよくあがっていることが面白いです。その他、特高もしばしばはなしのなかに登場します。

廖承志「私の童年」・・・中国注水の知日派の筆頭格
廖夢醒「下駄の鼻緒」
王学文「河上肇先生に師事して」・・・日本の左翼と中国青年たちのつながり
蘇歩青「わが師わが友」
蔡邦華「鹿児島高農での青年時代」
許幸之「東京でかいた一枚の絵」
茅盾「亡命時代の事ども」・・・茅盾日本滞在は有名な話
司徒慧敏「五人の学友たち」
鄭啓棟「研究室での青春」
張友漁「一九三〇年代の留学生活」
韓幽桐「東大法学部研究室での五年間」
華「大野さんとその家族たち」
林林「ワセダの森でハイネに酔う」
張香山「文学にあけくれた日び」
杜宣「戦争前夜の青春」
趙安博「私の一高時代」
蕭向前「下宿のおじさん」
孫平化「本屋街がなつかしい」
鄧友梅「徳山で"労工"となって」・・・しばしば『北京文学』にもあらわれる人物
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『中国文学雑談―吉川幸次郎対談集』

『中国文学雑談―吉川幸次郎対談集』に収録されているのは、吉川幸次郎と井上靖、中野重治、桑原武夫、石川淳、石田英一郎、湯川秀樹との対談。

それぞれ味わいがあって面白いです。

「子、川の上に在り。曰く、逝く者は、斯の如きか。昼夜を舎かず。」という孔子の言葉は、時代によって読まれ方が異なり、ポジティブ(万物は流転生成している)にもネガティブ(全てのものは過ぎ行く)にも読まれうるという話を吉川幸次郎はしばしばしていて興味深いです。

吉川幸次郎と桑原武夫は気が合うようです。

一方、吉川幸次郎と石川淳の対談は話がかみ合わず、それが面白いです。石川淳の側が様々な意見を出しますが、それらが専門家からすると受入れがたいもののようです。(たとえば、毛沢東は孔子みたいだ、などなど)

中根研一『映画は中国を目指す: 中国映像ビジネス最前線』

中根研一『映画は中国を目指す: 中国映像ビジネス最前線』

中国におけるウルトラマンの受容などの部分は非常に面白かったです。


第1章 映画大国化する中国(中国大陸の輸入映画事情 巨大映画大陸の誕生;1970~90年代の輸入映画 ほか)
第2章 ハリウッドは中国を目指す(中国に急接近するハリウッド;象徴的な『パシフィック・リム』の大ヒット ほか)
第3章 中国人の好きなウルトラマン(温家宝首相が言及したウルトラマン人気;にわかに湧き上がるウルトラマン批判 ほか)
第4章 中国SF特撮番組・映画の今(中国に撒かれた日本特撮の遺伝子;『金甲戦士』―初の国産特撮ヒーローの試行錯誤 ほか)
最終章 日本作品は上陸できるのか?(日本にとって近くて遠い、中国の映画市場;日本マンガのブランド力 ほか)

洋泉社,2015

河村昌子『巴金 その文学を貫くもの』

河村昌子『巴金 その文学を貫くもの』は巴金の文学に対する研究。

新聞掲載されていた当時の誌面と対応させながら『激流』を読んでいくという方法はとても参考になりました。

《目次》
はじめに
序章 作家になるまで
第一章 新聞連載小説『激流』
第二章 著作と実践活動のはざまで
第三章 編集者として、作家として
第四章 戦時下で書くこと
第五章 『寒夜』――「小人小事」の物語
第六章 『随想録』――妻を悼む
おわりに
初出一覧/あとがき/索引


『歴史の周縁から 先鋒派作家格非・蘇童・余華の小説論』

『歴史の周縁から 先鋒派作家格非・蘇童・余華の小説論』は森岡優紀による先鋒文学作家に対する研究をまとめたもの。

格非・蘇童・余華を先鋒文学作家としてまとめて、その特徴を分析していく構成となっています。基本的には、蘇童に対する分析が一番多い印象を受けました。キーワードは「周縁」。60年代生まれは、上の世代とは異なり、周縁から中国の歴史と向き合ってきた、といういうような分析となっています。

作風は三者三様なので、面白いと感じました。



以下は目次。

はじめに
第一部 先鋒派のはじまり
第一章  蘇州の少年時代〈蘇童〉
第二章  大人の世界への旅立ち〈余華〉
第三章  「意味」を探し求めて〈格非〉
第二部 先鋒派の文学形式
第四章  虚構のちから〈蘇童〉
第五章  深層の記憶〈格非〉
第六章  文化大革命と六〇年代生世代〈蘇童〉
第三部 先鋒派の周縁
第七章  歴史の周縁から〈格非〉
第八章  新しい「現実」の構築へ向けて〈余華〉
おわりに
付録 「先鋒派」作家インタビュー 
 蘇童訪問録(一九九九年夏)
 格非訪問録(二〇〇五年八月)
余華訪問録(二〇〇五年春)