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中国文学映画関連 備忘録

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レイ・ブラッドベリ『ウは宇宙船のウ』収録作品3

レイ・ブラッドベリ(1920~2012)はアメリカ合衆国のSF作家。
『ウは宇宙船のウ』はレイ・ブラッドベリの短編集。大西尹明による翻訳。


「この地に虎数匹おれり」
望むものを何でも具現化する惑星に降り立った宇宙飛行士たちの物語。最終的に一人の男だけが惑星にとどまることを選択します。非常に考えさせられる作品。

「いちご色の窓」
火星に降り立った後過去を懐かしみ、地球からさまざまなものを取り寄せる家族の物語。追憶がテーマになっています。

「竜」
ショートショート。騎士と龍がすれ違う物語。

「おくりもの」
クリスマスの夜に初めて宇宙船に乗り込んだ家族の物語。クリスマスツリーとプレゼントを船に持ち込むことができなかった父母は心配しますが。

「霜と炎」
苛烈な放射線などのため、時間のサイクルが早くなり、人間の寿命が8日間になってしまった世界で生きる男シムの物語。彼は宇宙船に乗ってその世界から脱出することを試みます。

「タイム・マシン」
非SF。少年がタイム・マシンがあるといって友人をフリーリー大佐のもとに誘う物語。フリーリー大佐は歴史的出来事をさまざまな語ります・・・

「駆けまわる夏の足音」
非SF。少年のダグラスが靴屋のショー・ウィンドーに飾られている真新しいテニス靴に手に入れる物語。少年は、その靴を手に入れるため条件を持ちかけます。
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レイ・ブラッドベリ『ウは宇宙船のウ』収録作品2

レイ・ブラッドベリ(1920~2012)はアメリカ合衆国のSF作家。

『ウは宇宙船のウ』はレイ・ブラッドベリの短編集。大西尹明による翻訳。
「太陽の金色のりんご」
太陽に行き、そのエネルギーを回収して地球へ戻る宇宙飛行士たちの物語。

「雷のとどろくような声」
タイムスリップして動物の狩りができる会社に依頼して、ティラノサウルス狩りにでかける物語。タイムマシンが実現した場合発生するだろう問題に向き合った作品です。過去にタイムスリップして何かをしたら、因果が巡り、未来が変化してしまうのではないか、という疑問は難しくて興味深い、と感じます。

「長雨」
雨が降り続ける金星に不時着した後、太陽ドームを目指して雨の中ひたすら放浪する三人の男たちの物語。皆次第に正気を失っていきます・・・

「亡命した人々」
近未来、ファンタジーが禁止されて危機的状況に陥ったポオ、ビアスなどの作家は火星に亡命しますが、そこにも科学の産物・宇宙船があらわれて、作家が皆死に絶える物語。ブラッドベリらしい作品。非常に印象に残りました。

木村榮一『ラテンアメリカ十大小説』

『ラテンアメリカ十大小説』は、スペイン文学に詳しい研究者・木村榮一による、ラテンアメリカ文学入門書。紹介されているのは、下記の十冊。

・ボルヘス 『エル・アレフ』
・カルペンティエル 『失われた足跡』
・アストゥリアス 『大統領閣下』
・コルタサル 『石蹴り』
・ガルシア=マルケス 『百年の孤独』
・フェンテス 『我らが大地』
・バルガス=リョサ 『緑の家』
・ドノソ 『夜のみだらな鳥』
・プイグ 『蜘蛛女のキス』
・アジェンデ 『精霊たちの家』

既読は『百年の孤独』のみ。読みたいと思う本が増えました。とくに『エル・アレフ』は呼んで見なければ、と思います。

レイ・ブラッドベリ『ウは宇宙船のウ』収録作品

レイ・ブラッドベリ(1920~2012)はアメリカ合衆国のSF作家。

『ウは宇宙船のウ』はレイ・ブラッドベリの短編集。大西尹明による翻訳。

「「ウ」は宇宙船の略号さ」
宇宙船にあこがれて、そのロケットの発進を見に出かける少年の物語。最終的に、宇宙飛行士の候補に選ばれて、家を去ります。

「初期の終わり」
息子ののるロケットの発進によって新しい時代の幕開けを予感する物語

「霧笛」
灯台から発せられる霧笛の音に吸い寄せられて、灯台に訪れた孤独な太古の怪物の物語。非常に印象深かったです。

百万年の孤独という部分が胸を打ちます。

「宇宙船」
スクラップ工場で働く貧しい男が、子供たちのために宇宙旅行気分を味わえる架空の宇宙船をつくって、七日間の幻の旅行を楽しませる物語。

「宇宙船乗組員」
父親が宇宙飛行に出掛けてしばしば家を空ける一家の物語。母親は父親が宇宙に行かないことを望み、息子は父親に憧れて、父親は地球にいるときは宇宙に行きたいと思い、宇宙にいるときは地球に戻りたいという葛藤を抱えています。

メキシコに行ったときの思い出として、息子が語る「何百匹という蝶が車のラジエーターに吸い込まれ、そこでその青と紅の羽をばたつかせながら、美しくもまた悲しげにその身を引きつらせて死ぬのを見た」という光景が印象的。


ガルシア=マルケス『族長の秋』

ガルシア=マルケス(1928年~2014年)はコロンビアの小説家。『族長の秋』は、ガルシア=マルケスが『百年の孤独』発表のあとで執筆した小説。

『ガルシア=マルケス作品集』収録。鼓直翻訳。

幾度も大統領の死後の場面に舞い戻りながら、その度に過去に遡行して、大統領の様々な側面を描き出していく、という展開になっています。人称がよく変化します。日本語に翻訳する上では様々な困難があっただろうと思いました。

『族長の秋』は、大統領がハゲタカに食い荒らされたらしい、と判明する場面から始まります。その後、百年にもわたって国を支配してきた大統領のことが描かれていきます。たとえば、大統領の母親パトリシオ・アラゴネスに対する愛、大統領の愛なき愛、マヌエラ・サンチェスへの唯一ともいうべき愛、アメリカをはじめとした各国によって海を含む全てを奪われる国家の様相、最も信頼する側近アギラル将軍との信頼関係と最終的な確執、度重なる内部の権力闘争、民衆に対する虐殺など。

とくに浮かび上がるのは大統領の孤独です。

        
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