『中国現代文学と九州 異国・青春・戦争』は、さまざまな中国文学研究者が、近現代の中国文学作家と九州との関わりに関してまとめたもの。非常に興味深いです。
「序章 中国現代文学と九州」
内容全体の概観。
「第1章 文学者郭沫若と九州の縁」
郭沫若と九州の関係に関して。詩や散文を参考にしながら、郭沫若が九州の自然に魅せられていた、ということを明らかにしていきます。また、郭沫若の文学にとって九州の風土が大きな意味を持っていた、ということも示します。
「第2章 陶晶孫と福岡」
陶晶孫と福岡の関係に関して。陶晶孫は福岡を好んでいませんでした。東京の生活を経た後、福岡に来たため、田舎とも都会ともいえない福岡に対して好感を持ち得なかったのかも知れません。その結果なのか、当時の作品は、後の作品とは違って、暗くナイーブな側面が色濃いそうです。
福岡を愛した郭沫若と、福岡を愛さなかった陶晶孫の対比は印象的。
「第3章 張資平と九州・熊本―旧制五校の青春」
旧制五校で学生生活を送った張資平に関して。本人の小説などを参考にしながら、当時の生活を分析しています。「ヨルダン川の水」という小説の内容によれば、当時、熊本に心を通わす人がいたようです。