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中国文学映画関連 備忘録

王家卫《東邪西毒》『楽園の瑕』


《東邪西毒》は王家衛が制作した1994年の映画。2008年にも異なる編集を施された《东邪西毒:终极版》が各地で上映されたそうです。
 
武侠映画。金庸の『射鵰英雄伝』中に登場する「東邪」黄薬師と「西毒」欧陽鋒をモチーフにしています。しかし、物語自体は王家衛がつくりあげたものです。武侠映画ではありますが、王家衛らしさが全面に押し出されています。
 
物語の軸となっているのは欧阳锋です。ただ、あらすじや背景知識を知っていないと、物語を理解することが難しいかも知れません。
 
欧阳锋(张国荣)は兄が結婚する日、故郷の白駝山を離れます。なぜならば、兄嫁(张曼玉)が彼の最愛の人だったからです。彼は砂漠に隠居して一軒の旅館を開き、侠客として殺人を請け負うようになります。剣士・黄药师(梁家辉)は欧阳锋の友人です。毎年、砂漠にきて欧阳锋と酒を飲みかわします。その後、欧阳锋の兄嫁(张曼玉)に会いに行きます。今年、彼は「醉生梦死」という飲むと一切を忘れさせるといわれる酒を持ってきます。
 
慕容燕(林青霞)は大金を出して欧阳锋に黄药师を殺すよう頼みます。なぜならば黄药师が彼の妹・慕容嫣をだましたからだと彼は言います。しかし、慕容嫣(林青霞)は欧阳锋に慕容燕を殺すように迫ります。なぜならば彼女の兄は彼と黄药师が一緒になることを認めないからです。しかし、慕容燕と慕容嫣は同一人物です。黄药师が彼女を騙したため、彼女の自己が分裂してしまったのです。彼女は寂しさに包まれます。のちに彼女は「独孤求敗」となります。
 
盲目の武士(梁朝伟)は桃花の夫です。もともと黄药师の友人でした。しかし、桃花が原因となって黄药师と衝突します。彼は様々な地方を駆け巡り、失明する前に故郷に帰って桃花と会いたいと願っています。彼は仕事を任せられて、一人で数百名の馬賊と戦います。そして命を落とします。
 
村姑(杨采妮)は弟の敵を討つために殺し屋を探しています。しかし、金がないため欧阳锋に断られますがずっと離れません。洪七(张学友)は裸足の侠客です。欧阳峰が彼に馬賊を討つようにさせます。そして、彼は馬賊を打ち倒します。その後、村姑の願いにこたえて,太尉府の剣客たちを倒します報酬は卵だけでした。彼は自分の妻を伴って江湖に乗り出します,彼はのちに「北丐洪七公」となります。
 
 
画面の中で、女性が物にすがりつくようにうつされていることが多くあります。また、女性は水と関連付けられています。水は物語の舞台である砂漠と対照的なものです。その点が非常に興味深いです。
 
顔をうつしているにも関わらず、様々な障害物によってよく見えないこともあります。その見えるべきものが見えない点など工夫されています。
 
 
《東邪西毒》(1994■王家卫■张国荣、梁家辉、林青霞、梁朝伟、刘嘉玲、杨采妮、张学友、张曼玉■『楽園の瑕』)
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