《中国合伙人》 映画(中文) 2015年07月26日 0 《中国合伙人》は、三人の学生が様々な失敗に直面しながら起業して中国一の塾をつくりあげる青春映画。監督は陈可辛、主演は黄晓明、邓超、佟大为。成东青(黄晓明)は農村出身の田舎者です。二度高考に失敗した後、遂に大学に合格します。そして、優秀かつ自信にあふれた孟晓骏(邓超)や、文学を愛好する詩人的な王阳(佟大为)と出会います。三人は、八十年代のほかの学生たちと同じように、アメリカン・ドリームを胸に抱き、英語を必死に勉強します。ビザを申請した結果、孟晓骏と佟大为は成功して成东青は失敗します。孟晓骏はアメリカ留学に成功して研究室に所属します。しかし、理想と現実は異なり、外国人であるがゆえに冷遇されます。そして、結局研究室をやめざるを得ず、カフェで働くことになります。王阳はビザを得たのに、アメリカ人女性との恋愛を優先して、中国に留まります。成东青は一人中国と留まり、燕大で教師になります。しかし、大学時代からの彼女はアメリカ留学に旅立ち、最後には別れます。さらに、大学に学外で勉強を教えていることを知られて学校を公式に追い出されます。そして、正真正銘の失敗者となってしまったのです。すべてを失った成东青はケンタッキーで英語の塾を始めます。そして、その独特の自嘲を含んだ教育法により多くの学生をひきつけていきます。結果として、彼はその塾によって成功をおさめることになります。塾の規模は次第に大きくなり、成东青は王阳と手を組みます。さらに、成东青はアメリカから戻ってきた孟晓骏も招き、“新梦想”という学校をつくります。成东青の自嘲を含んだ教育法、孟晓骏のアメリカビザ申請講座、王阳の映画を取り入れた講座によって、学校は大成功します。学校は中国一の規模となり、成东青はメディアに取り上げられて留学教父と称されます。そして、田舎者から指導者に変わっていきます。しかし、株式上場などをめぐって成东青と孟晓骏の確執は激しくなり、王阳は右往左往します。王阳の結婚式の夜、三人は決裂して孟晓骏は沈阳に去ります。その後、アメリカのETSによって訴えられて“新梦想”は危機に陥ります。しかし、三人は再び結束してアメリカに赴き、その訴訟を切り抜けて、株式上場に漕ぎ着けます。英語タイトルはAmerican dreams in China。世界を変える、というフレーズが繰り返し使われます。自分たちが世界を変えるのだという理想、それを逆転した世界が自分たちを変えるだけだという諦観、などは青春映画でよく扱われるテーマです。映画の中で、海阔天空が流れます。非常に気持ちを揺さぶられました。映画を見た後、インタビュー番組《看见》を見ていました。《中国合伙人》ブームを受けてモデルとなった新东方立ち上げ人の三人にインタビューした回がありました。聞き取ることができない部分も多々ありましたが、映画と現実は少し異なっているということを知ることができました。とくに、成东青に相当する俞敏洪という人のあり方は興味深かったです。情に厚く、人の意見を聴き入れる度量があるということが感じられました。ただ、会社に母親を招き入れて混乱を引き起こす側面もあったそうです。情に厚いことが良くも悪くも機能しているということなのだろうか、と考えました。俞敏洪は1985年に北京大学を卒業しており、同級生はほぼ全員が海外に留学したそうです。背景には当然アメリカンドリームに対する憧れがあったのだろうと思います。当時、中国の優秀な学生から見たら、そこまで外の世界が魅力的に見えた、ということの意味に関して考えられたら面白いと思いました。成东青は現地で北京大学の教師として六四天安門事件を経験したはずです。映画は時系列にそって物語を展開していきますが、成东青が天安門事件に直面する場面はありません。改めて、触れられることのない天安門事件に関して考えるとしたらどういう意味を持つのかと考えました。中国における青年の理想の挫折を考える上では、六四天安門事件は欠かすことのできない話題のはずです。 PR