『中国二〇世紀文学を学ぶ人のために 』(世界思想社、2003年)をぱらぱらめくっている最中。小説、詩、映画、京劇などが多角的に扱われていて面白いです。
この前《霸王别姬》を見たので、「二〇世紀の京劇と梅蘭芳[松浦恆雄]」と「上海の「京劇」[藤野真子]」が印象に残りました。京劇の言葉は北京以外の地域の方言が基盤となっていた、という基礎的な部分から文革期にどのように政治から圧力をかけられたのか、という簡単な歴史など分かって改めていろいろ考えました。
それからちょうど、今日ゼミで満州時代の文学を研究している方の発表を聞いていて、満州の文学にかんしても気になりました。あとになって満州文学は再評価されたそうですが、文学に対する評価とはそもそもどういうものなのか、など。
目次
●まえがき[宇野木洋]
パート1
コンパクト・中国二〇世紀文学史[宇野木洋]
パート2
●二〇世紀前半の理論と制度
制度としての近現代文学[絹川浩敏]
●二〇世紀後半の理論と制度
「統治」の枠組から文化「解読」へ向けた模索の営為へ ─ 対抗軸としての政治・欧米理論・ コマーシャリズム[宇野木洋]
●二〇世紀前半の詩
現代詩の生成 ─ 詩律の変遷とモダニズム[是永 駿]
●二〇世紀後半の詩
詩の復権 ─ 中国現代詩の沃野[是永 駿]
●二〇世紀前半の小説
“救国”と“通俗”の相克[阪口直樹]
●二〇世紀後半の小説
「書く」ことの意味 ─ 二〇世紀後半の中国小説[今泉秀人]
●二〇世紀の演劇
二〇世紀の京劇と梅蘭芳[松浦恆雄]
パート3
古典から二〇世紀へ ─ 詩文[筧 文生]
上海の「京劇」[藤野真子]
日本占領下の文学状況 ─ 「満洲国」の文学研究[岡田英樹]
日本占領下の文学状況 ─ 上海[梁 有紀]
「中国二〇世紀文学」にとって「台湾の文学」とは[星名宏修]
エミグラント文学[是永 駿]
VCDによる中国映画分析の新たな可能性[好並 晶]
●あとがき[松浦恆雄] ●読書案内
●年表[鈴木康予] ●索引 ●執筆者紹介