四方田犬彦『アジアのなかの日本映画』 評論思想哲学 2016年02月02日 0 『アジアのなかの日本映画』は、四方田犬彦による日本の映画に関する評論をまとめたもの。 1 アジアのなかの日本映画 2 日本映画とマイノリティの表象 3 一九九〇年代の日本映画 4 日本映画の海外進出 から成り立っています。 個人的にとくに興味深かったのは、「1 アジアのなかの日本映画」。 日活のアクション映画が、日本のみならず世界で評価された、ということを四方田犬彦が鮮やかに明らかにしていきます。韓国への影響(韓国では密かに、オマージュ作品が作られた)、ヨーロッパ・ヌーヴェルヴァーグへの影響、台湾への影響(侯孝賢も小林旭をみていた)、香港への影響(日活アクションから香港ノワールへ)などなど。 「3 一九九〇年代の日本映画」では、旧満映撮影所への旅のことなども触れています。 その他、在日、水俣、任侠などを取り上げた映画に関して。 また「4 日本映画の海外進出」の部分では伊丹万作の日本映画の海外進出計画への考察、日活銀座、武満徹と映画音楽、淀川長治、ヴィデオへの映画への影響などに触れています。どのエッセイもみな映画に対する思いがあふれていて興味深いです。知らないことが多かったので勉強になりました。 日活が銀座の舞台をまるごとつくって維持したというはなし、すごい、と感じました。 ヴィデオが映画評論を変えたという記述を見て隔世の感があります。今ではネットで多くの映画を見ることができます。 ピンチョンにも言及。四方田犬彦の視野の幅広さを思い知りました。 映画を見たあとで改めて読み直したいです。 PR