余华《往事与刑罚》 余華の小説随筆 2015年11月05日 0 《往事与刑罚》は余華の執筆した短編小説。 物語の主な登場人物は、見知らぬ人(陌生人)と刑罰の専門家(刑罚专家)。二人の交流に沿って物語がすすんでいきます。ただ、二人は同一人物のようです。 1990年の夏、見知らぬ人が来歴不明の電報を受け取った場面から物語は始まります。その電報には「速回」とだけ書かれていました。見知らぬ人は、1965年3月5日という見知らぬ人の方向を決定している日にいこうとします。数日して見知らぬ人は「煙」という名前の小さな村につき、刑罰の専門家と出会います。そして、二人の対話と交流が始まります。 交流の中で1965年3月5日以外にも四つの重要な期日があったと気付きます。さらに刑罰の専門家は見知らぬ人に向かって「私はあなたの過去なのだ」と言い放ちます。刑罰の専門家はあらゆる刑罰を掌握していますが、首つりを卑しんでいます。彼は様々な期日を様々な刑罰で殺してきました。 刑罰の専門家は、見知らぬ人の同意の上で刑罰を執行しようとします。彼が試そうとしたのは、きらめくガラスの上で体を二つに断ち切り、そのきらめきを感じるという刑罰です。しかし、刑罰の専門家が年老いて力を失っていたため、刑罰は失敗します。その後、刑罰の専門家は、みずからの素晴らしい刑罰によって自分を殺そうとしますが、たびたび失敗します。そして、最終的に首をつって死にます。 暗示に満ちた作品。 余華が、初期、常々作品の中でテーマとして取り上げてきた刑罰がここでも取り上げられています。莫言の作品の中でも、残虐な刑罰が描かれることが多くありますが、二人の間に共通する要素があるのか、という点は興味深いです。また、余華自身は常々カフカの影響下で書いた、と記していますが、カフカの『流刑地にて』などと比較しても面白いかも知れません。 見知らぬ人と刑罰の専門家をどのように解釈するかによって、作品全体の解釈が変わります。 PR