余华《十八岁出远门》 余華の小説随筆 2016年01月31日 0 《十八岁出远门》は、余华の出世作とみなされている短編小説。1986年11月16日。 十八歳になった少年が経験する不条理な出来事を描いています。 少年は宿を目指して歩き続けています。しかし、宿が見つからないので、エンストして停車している車を発見して、運転手のためにタバコの火を点けることにより、車に同乗させてもらいます。その車は大量のリンゴを輸送している最中でした。その後、車は出発しますが、またエンストします。修理できないので運転手は車外で運動を始めます。少年は、運転手のために煙草の火を点けて車に乗ります。その後、車はまたエンストします。その時、五人の男が自転車であらわれます。そして、リンゴを強奪していきます。少年は男たちを止めようとして争いますが、殴られます。運転手はその様子を嬉しそうに眺めています。その後、さらに大量の人たちが現れてリンゴを強奪していきます。少年は運転手を憎らしく思います。最終的にトラクターがあらわれて、タイヤや板などを根こそぎ強奪していきます。さらに運転手は少年のバックまで強奪してトラクターに乗り、去っていきます。少年と車は傷だらけになり、取り残されます。少年は車の座席に横になり、父親から「18歳になったのだから、外の世界を理解しにいなければならない」と言われて紅いバックを背負って喜び勇んで家を出た時のことを想起します。 寓話的な小説。 「アスファルトの道路は曲がりくねっていて、道はまるで波に張り付けられているかのようだ」という一節から物語は始まります。細かい描写は具体性に富んでいるので、場面として想起しやすいです。映像化が極めて容易です。 また少年の紅いバックと、車の輸送している紅いリンゴなど、紅が物語全体の中で際立っています。リンゴの意味、物語全体の意味など、さまざまな解釈が可能なように思われます。その紅を、共産党の意味ととらえるならば、無邪気に共産党の理念を掲げた少年(紅衛兵?)が現実世界において大人たちから裏切りに遭い、失敗する物語とも読めます。 水が余華の作品の中では頻出しますが、水はいかなる意味を持っているのかと考えてみたいと感じました。 PR