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中国文学映画関連 備忘録

余華『血を売る男』

『血を売る男』(原題《许三观卖血记》)は中国の小説家・余華の執筆した小説。日本語版は飯塚容訳。製糸工場で働く許三観が危機に直面するたびに血を売ってお金を稼ぎ、生き抜いていく物語。


中国において、一般的だった売血に関して扱った小説。


余華は、デビュー当初、実験的な文体で知られる先鋒文学の一員とみなされていました。しかし、《活着》に続き、《许三观卖血记》でも平易な文体で時代に翻弄されながらも逞しく生き抜いていく人間を生き生きと描き出しました。

《活着》と同じく、物語の背景として大躍進政策、文化大革命などの出来事が描かれています。ただ、《许三观卖血记》は、深刻な問題を扱いながらも希望があります。《活着》の絶望にあふれた展開とは対照的です。

韓国で映画化されているそうなので、見てみたいです。
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