6/18 『「規範」からの離脱 中国同時代作家たちの探索』 中国関連の本(日) 2015年07月04日 0 『「規範」からの離脱 中国同時代作家たちの探索』は、日本の中国文学研究者が、中国の現代文化の潮流を様々な角度からまとめたもの。現代の小説、演劇、詩などが論じられています。国際交流基金「異文化理解講座」の書籍化。 現代中国の演劇、詩に関しては全く詳しくないので、佐藤普美子「第四章 現代漢語詩歌の模索 一九九〇年代詩歌の諸相」と飯塚容「第五章 小劇場、前衛劇の試み 林兆華、孟京輝から李六乙、田沁〔キョク〕」はとくに興味深く読みました。ただ、様々な解釈を生み出す詩というものを論じることは容易ではない、と感じました。詩を分類して歴史を総括する、というような方法をとるとしても難しそう。 中国の現代文学のなかで定番といえば莫言、高行健など、フェミニズムの観点からみた時興味深い対象は鉄凝、衛慧、棉棉、木子美、周縁から中国を問い直す人たちとしてはザシダワ、アーライがいる、というふうに、一般的な評価を知る上でよくまとまっていて分かりやすいです。 「第十章 わたしたちはどこへ行くのか? グローバリゼーション下の都市文化」を読みながら、なぜ日本の現代文化は中国に伝播しているのに、中国の現代文化は日本にあまり伝播しないのか考えてみたい、と感じました。それから、なんとなく中国のネット小説と日本のケータイ小説を比較してみたら面白いかも知れないと感じました。 尾崎文昭「第一章 「改革と開放」政策のもたらしたもの 一九九〇年代の文化とメディアの状況」 関根謙「第二章 「集団幻想」からの脱却 中国一九六〇年世代の挑戦」 白水紀子「第三章 活躍する女性作家 鉄凝『大浴女』にみる娘の成長物語」 佐藤普美子「第四章 現代漢語詩歌の模索 一九九〇年代詩歌の諸相」 飯塚容「第五章 小劇場、前衛劇の試み 林兆華、孟京輝から李六乙、田沁〔キョク〕」 藤井省三「第六章 魔術的リアリズムが描く中国農村 鄭義、莫言と大江健三郎」 飯塚容「第七章 「人称」の実験と「多声部」の試み ノーベル賞作家、高行健の小説と戯曲」 山口守「第八章 夜の対話からマイナー文学まで 史鉄生、ザシダワ、アーライ」 桑島道夫「第九章 「新人類」作家の登場 「身体で書く」女性作家、衛慧、棉棉、そして木子美」 千野拓政「第十章 わたしたちはどこへ行くのか? グローバリゼーション下の都市文化」 PR