竹内好「評伝 毛沢東(抄訳)」 中国関連の本(日) 2017年12月15日 0 竹内好「評伝 毛沢東(抄訳・第七・八章)」は1951年『中央公論』に発表。『竹内好セレクションII アジアへの/からのまなざし』収録。 竹内好からみた毛沢東が綴られています。 毛沢東の方法を無からの創造と竹内はみなして、純粋毛沢東,原始毛沢東というものを探り当てよう、とします。そして、井岡山における無所有者としての経験が根源にあるとします。さらに、敵は強大だが、我は不敗だという信念、敵の戦力を我の戦力に転化するという方法、そして、物質と精神双方にまたがる根拠地というものがあり、それが勝利を可能にするといいます。 自己改造に関しても、竹内好は適当とみなします。さらに、全体と部分の調和、独立と統一の弁証法といった論理が毛沢東を支えている、という論理も展開します。 極めて問題が多い毛沢東論。 竹内好は文学研究をしている人間にとっては、反面教師とするべき最適の例といえそうです。竹内好は文化大革命に肯定的な立場をとったため、のちに批判されましたが、毛沢東という人物を理想的に描きすぎたことがその背景にあると考えられます。 竹内好は文学、哲学の視点から毛沢東や中国をみようとして、論理を展開していきましたが、文学の立場だけではなく、社会学や経済学、法学の立場からも、中国を検討する、ということをしなければ見誤るのではないかと感じました。 PR