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中国文学映画関連 備忘録

林ひふみ『中国・台湾・香港 映画の中の日本』

『中国・台湾・香港 映画の中の日本』は、林ひふみによる映画評論。

明治大学リバティブックス。

扱われている映画は中国・香港・台湾映画のなかでもきわめて代表的なもの。その中で日本がどのように描かれているかが論じられていきます。

とくに興味深いと感じたのは、台湾関連。台湾本省人である呉念真が、台湾映画の中で、大きな役割を果たした、ということを初めて知りました。呉念真の映画をこれからしっかり見ていきたいです。

また、『海角七号—君想う、国境の南』において描かれているのは、日本と台湾の和解ではなく、台湾人内部の群族同士の和解であり、台湾人は台湾人だといっているのだ、という読み解きは見事です。

香港映画に関して。『客途秋恨』のなかの母親の日本語が不自然であるという指摘は理解できます。ただ、母親のイメージが定まらない、という点に関しては、それ自体が興味深い現象なのではないか、と感じました。ちょっとあらすじがおぼろげにしか思い出せないのでもう一度みたいです。

まだ見たことのない映画が多いので、見てみたいです。



プロローグ 中国語映画に響く日本語の歌  
第一章 中国戦争映画の「日本鬼子」
『紅いコーリャン』(一九八七年、張芸謀監督)●
『さらば、わが愛 覇王別姫』(一九九三年、陳凱歌監督)●
『鬼が来た!』(二〇〇〇年、姜文監督)●
第二章 台湾映画の日本家屋という亡霊 
『冬冬の夏休み』(一九八四年、侯孝賢監督)  
『童年往事—時の流れ』(一九八五年、侯孝賢監督)  
『牯嶺街(クーリンチエ)少年殺人事件』(一九九一年、楊徳昌監督)  
『多桑 父さん』(一九九四年、呉念真監督)  
第三章 香港映画の「荒唐無稽」な日本
『風の輝く朝に』(一九八四年、梁普智監督)
『客途秋恨』(一九九〇年、許鞍華監督)●
『恋する惑星』(一九九四年、王家衛監督)●
第四章 中国映画と高倉健
『単騎、千里を走る。』(二〇〇四年、張芸謀監督)
『狙った恋の落とし方。』(二〇〇八年、馮小剛監督)
第五章 台湾映画と「別れの手紙」
『ヤンヤン 夏の想い出』(二〇〇〇年、楊徳昌監督)
『海角七号—君想う、国境の南』(二〇〇八年、魏徳聖監督)●
エピローグ 映画が癒す戦争のトラウマ
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