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中国文学映画関連 備忘録

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留学中に読んだ本

留学中、ほとんどまじめに本を読まず、いまさら後悔・・・

顾漫《微微一笑很倾城》
九夜茴《匆匆那年》
洪子诚《中国当代文学史》
钱理群、吴福辉、温儒敏《中国现代文学30年》

あと魯迅の『傷逝』がけっこう記憶に残っているような
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卢新华《伤痕》

《伤痕》は、盧新華が1978年8月《文汇报》に発表した短編小説。

文革の傷跡を振り返る「傷痕文学」ブームを巻き起こしました。
物語の主人公は、王暁華という女性です。王暁華の母親が「四人組」によって「叛逆者」とみなされます。王暁華はその誹謗を事実と信じて母親と絶縁することを選びます。そして、農村に赴き、九年間にわたって母親と連絡を絶ちます。農村の人々は王暁華に対して優しく接しました。しかし、母親が「叛逆者」とみなされていたため、王暁華と関わりを持つ人間には被害が及びます。そして、王暁華は、仲の良い蘇小林を思って、蘇小林ともほぼ交際を絶ち、孤独になります。「四人組」が失脚した後、王暁華の母親は冤罪だった、と認定されます。そして、王暁華は後悔の念を抱きながら、母親のもとに向かいます。しかし、ちょうど王暁華がついた時には、母親は病院ですでに亡くなっていました。ただ、早くに戻っていた蘇小林が母親の傍にいたことは救いでした。

文化大革命によって引き裂かれた家族を描いた小説。

当時、大学一年生(24歳)だった盧新華はこの一作で一躍有名になったそうです。

刘心武《班主任》

刘心武《班主任》は、もともと《人民文学》1977年第11期に掲載された短編小説。傷痕文学の代表作。文化大革命が青少年の内面に与えたゆがみを明らかにする小説とされています。

《中国新文学大系(1976-2000)》収録されているものを読みました。

 《班主任》は、日本語では「クラス担任」という意味。


主な登場人物は、北京にある中学校三年のクラス担任をしている張俊石、クラスの生徒である支部書記・謝惠敏と、宣伝委員の石紅、チンピラ少年の宋宝琦の4人。公安局から釈放された宋宝琦が、張俊石のクラスに転入してくることになり、波紋が広がります。張俊石は周囲の反対を受けても受け入れようとして生徒たちに協力してもらおうとします。しかし、教養のある教師・張俊石と、党の言うことをただ信じて無知な謝惠敏の間には、溝があります。支部書記の謝惠敏も、チンピラ少年の宋宝琦も、海外文学「あぶ」を全く理解することができません。張俊石は、四人組のもたらした害悪によって、無知な若者が生み出されていると認識します。さらに、文学の中で育ってきた石紅が、魯迅訳による浮浪児更生を描いた海外の小説「時計」を評価したため、謝惠敏と対立します。張俊石は石紅を評価したうえで、謝惠敏に言うべきことを言おうと決意します。

小説の構造自体は明快です。

四人組に対する糾弾などが随所に含まれていて、ある考え方を読者に対して強く推薦する内容となっています。小説の中に、著者自身の意見が直接書き込まれているかのような印象を受けます。

「当時の歴史状況下では大きな意味を持ったが、現在の視点から評価すると小説としては瑕疵がある」とみなす中国の研究者たちの評論も理解できます。

蕭紅《小城三月》

《小城三月》は蕭紅最後の小説。1941年7月。

中国の女性を描き出した小説。

作品は、児童の視点から描かれています。物語の主人公は、私が「翠姨」とよぶ義理の姉です。翠姨は非常に奥ゆかしい人であり、思っていることをなかなか口に出しません。そして、学校に通ったことがありません。だから、学校に通う私のことを尊敬して、私に様々なことを相談します。また、翠姨は楽器を非常に得意としています。

翠姨は醜くて背の低い男と婚約させられます。しかし、密かに、ハルビンで勉学に励む私のいとこに対して恋心を抱いています。しかし、それを口に出すことはありません。翠姨は教育に対して憧れを抱いており、教育を受けるチャンスを得ようとします。そして、家庭教師からさまざまなことを学びます。

その後、翠姨は三年間の婚約期間が終わり、結婚を迫られます。翠姨は結婚したくないので病になります。それでも周囲から迫られて、ハルビンで結婚のための準備をします。紳士的ないとこの知り合いたちとの日々は、一生の中でもとくに愉快な日々となります。

その後、いとこが翠姨を見舞った時、翠姨は病床で、「あなたが来てよかった、本当に良かった、私は決して忘れることはないだろう。ただ、私はどうしてかわからないが今すぐに死にたい」と、自分の思いを切々と告げます。しかし、いとこは何も答えることかできません。その後、翠姨は自ら命を絶つようにして、病でなくなります。

都市と田舎の対比が非常に印象的です。

また当時の風物などが書き込まれていて非常に興味深いです。

        
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