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中国文学映画関連 備忘録

刘心武《班主任》

刘心武《班主任》は、もともと《人民文学》1977年第11期に掲載された短編小説。傷痕文学の代表作。文化大革命が青少年の内面に与えたゆがみを明らかにする小説とされています。

《中国新文学大系(1976-2000)》収録されているものを読みました。

 《班主任》は、日本語では「クラス担任」という意味。


主な登場人物は、北京にある中学校三年のクラス担任をしている張俊石、クラスの生徒である支部書記・謝惠敏と、宣伝委員の石紅、チンピラ少年の宋宝琦の4人。公安局から釈放された宋宝琦が、張俊石のクラスに転入してくることになり、波紋が広がります。張俊石は周囲の反対を受けても受け入れようとして生徒たちに協力してもらおうとします。しかし、教養のある教師・張俊石と、党の言うことをただ信じて無知な謝惠敏の間には、溝があります。支部書記の謝惠敏も、チンピラ少年の宋宝琦も、海外文学「あぶ」を全く理解することができません。張俊石は、四人組のもたらした害悪によって、無知な若者が生み出されていると認識します。さらに、文学の中で育ってきた石紅が、魯迅訳による浮浪児更生を描いた海外の小説「時計」を評価したため、謝惠敏と対立します。張俊石は石紅を評価したうえで、謝惠敏に言うべきことを言おうと決意します。

小説の構造自体は明快です。

四人組に対する糾弾などが随所に含まれていて、ある考え方を読者に対して強く推薦する内容となっています。小説の中に、著者自身の意見が直接書き込まれているかのような印象を受けます。

「当時の歴史状況下では大きな意味を持ったが、現在の視点から評価すると小説としては瑕疵がある」とみなす中国の研究者たちの評論も理解できます。
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