5/21『花の生涯〜梅蘭芳〜』 映画(中文) 2015年07月04日 0 『花の生涯〜梅蘭芳〜』(2008)は陳凱歌監督によって制作された、梅蘭芳という京劇役者の人生をモチーフにした映画。 梅蘭芳が新しい京劇を目指して熱烈な支持を集めたところから始まり、アメリカでも公演を成功させて京劇を世界的に有名にするまでが描かれています。また、彼が日本統治時代に沈黙して、第二次世界大戦後復活した点も触れられています。当然、フィクションではありますが、史実には一定程度忠実だそうです。 出演しているのは、黎明、章子怡、陳紅、孫紅雷、余少群ら。 物語の軸となっているのは、梅蘭芳、邱如白、十三燕、福芝芳、孟小冬といったひとたち。 新しい京劇を目指して、世間から熱烈な支持を集める梅蘭芳。梅蘭芳の京劇を世間に広めるために官職を捨てて奔走する邱如白。梅蘭芳に京劇を教えながら変化を否定して梅蘭芳に敗れ去る師匠の十三燕。梅蘭芳の妻として生活や自身の役者人生も犠牲にした福芝芳。梅蘭芳と惹かれ合いながら、梅蘭芳の京劇のために思いを犠牲にする若き孟小冬。 陳凱歌監督が再び京劇をテーマとして取り上げたため『さらば、わが愛』《覇王別姫》を思い浮かべますが趣きは随分異なる、と多くの人が指摘しています。 映画が描き出すのは、京劇に全ての時間を奪われるため、愛する人といっしょに映画を見に行くといったささやかな幸せすら味わうがことできない梅蘭芳の悲哀や、京劇に魅惑されたためある意味人生を狂わされる人々の姿です。人を突き動かす芸術とはどのようなものであるのか、全般的に描き出そうとしているように読み取ることが可能、と感じました。 陳凱歌や張芸謀の作品は、時として、中国の評論家から、西洋が形成してきたエキゾチックな中国イメージに適合したために世界的な成功をおさめた、と評されます。そのため、否定的にみられることもあります。『花の生涯〜梅蘭芳〜』もまた京劇を扱った作品であり、中国らしさや、その表現の方法に関して考える上では面白い作品になるかも、ともちょっと考えました。 PR