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中国文学映画関連 備忘録

姜文『太陽の少年』《阳光灿烂的日子》

『太陽の少年』《阳光灿烂的日子》は姜文監督による1994年の作品。

物語の舞台は、文革時期の北京。马小军(夏雨)はよく授業をさぼり、鍵を勝手に開けて人の家に忍び込むことを趣味としていました。たまたま忍び込んだ部屋で水着姿の少女の写真を見て惹かれます。ある日、马小军は、その写真の少女を見かけます。その後、少女に対して自分の雄姿を見せつけようとして必死に仲良くなろうとします。その少女は米兰(宁静)といいました。马小军はある時、米兰を遊び仲間に誘いますが、米兰と刘忆苦(耿乐)が仲良いので嫉妬します。その後、马小军と刘忆苦が同じ日に誕生日を迎えると米兰が二人に贈物を送ります。米兰と刘忆苦はすでに非常に親密でした。その後、马小军は米兰を襲おうとしますが失敗。二ヶ月後、米兰と仲間たちの連絡が途絶えます。結局、皆バラバラになり、大人になっていきます。

姜文が監督をつとめた初めての作品。

王朔の小説《动物凶猛》をもとにしているそうです。

文革期の都市の様子が伝わってきて非常に面白いです。大人が去り、こどもたちが勉強することもなく、好きなように振る舞っている様子は、今から振り返ると非常に問題が大きいように思います。しかし、当時の子どもたちからしたら非常に幸せな環境かも知れません。

余華が文革期に学生生活を送り、全く勉強しなかったと綴っていますが、よく理解できます。

青春の甘酸っぱくて苦い記憶を生々しく描き出しています。物語全体が马小军による回想というスタイルになっています。ただ、马小军は自ら記憶を信頼できないと指摘して、そもそも米兰と仲良くなった記憶自体が捏造かも知れない、とまでいいます。物語る人自体が信頼できない語り手だという点が、非常に文学的。



《阳光灿烂的日子》(1994■姜文■夏雨、宁静、陶虹、耿乐■『太陽の少年』)
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