《温暖和百感交集的旅程》は、余華のエッセイ集。
《读书》という雑誌の連載をまとめたものだそうです。
「布尔加科夫与《大师和玛格丽特》」
ミハイル・ブルガーコフの執筆した『巨匠とマルガリータ』に関して。物語の中盤になってから主要な人物が登場する点に対する指摘、マルガリータという人物が著者自身にとってどのような意味を持っているのか、という考察など。
とくに「ユーモアと現実」という部分は出色。ユーモアを構造とした、という記述などは、余華自身の創作に対する解説になっていると読み解くことも可能ではないかと思われます。
「博尔赫斯的现实」
ボルヘスという奇妙な作家の在り方に関して。非常にわかりやすいボルヘス入門のようになっています。
「契诃夫的等待」
チェーホフの『三人姉妹』とベケット『ゴドーを待ちながら』における、「待つ」という行為の違いについて。また、『三人姉妹』と『ゴドーを待ちながら』を組み合わせた林兆華の作品に関して。
さらに、ダンテとプルーストの叙述に関しても考察。