現代中国文学翻訳研究会/訳『ラブレター』 中国関連の本(日) 2015年12月02日 0 『ラブレター』には、現代中国文学翻訳研究会によって翻訳された80年代中国女性作家の短編小説が収録されています。 今回のテーマは若者だそうです。 王浙浜「ラブレター」(《情书的真情》)1980年 鉱山における、あるラブレターをめぐる物語。孟凡江という青年が偶然拾ったラブレターを周囲の人間に向かって読み上げていると、秦広有がそのラブレターを取り上げて、年老いた鉱長兼党委書記の梁樹に渡します。梁樹のもとに、杜秋雲という女性が現れて、それは王殿竜という成年から届けられたものだと言います。そして、彼女は、王殿竜のことを愛しているが結婚しても経済的な展望がないのであきらめている、と泣きながらいいます。翌日、会議の時、梁樹は、周囲の人間に対して、壮年の男女が結婚できないことは問題であり、彼らの結婚のために努力しよう、と皆に向かって告げます。秦広有はラブレターなどはいやらしいものだと反論します。しかし、梁樹は、ラブレターはもともとマルクスの文章だと告げて、恋愛は正当なものだと述べます。 張潔「より美しく生きる者」(《谁生活得更美好》)1979 施亜男、呉歓は1176号バスの女性車掌に惹かれます。その車掌は、「とてもひ弱で、か細く、まるで乱暴に扱われたことのないガラスの人形のよう」でした。呉歓は育ちが良く、男前です。施亜男は文学青年であり、田野という詩人に憧れています。呉歓は車掌の気を引こうとして様々なことをします。そして、最終的には恋文まで届けようとしますが成功しません。そして、最終的には、お金を払ったのに払わないふりをすることによって言い争います。施亜男は、その車掌のことを、憧れている詩人に告げにいこうとします。そして、その詩人の家を訪ねると、あらわれたのは、あの車掌でした。施亜男は予想外だったのですぐその場を去り、もうバスには乗りません。そして、もっと近づくできるようになれたら、訪ねに行こうと決心します。 王小鷹「香錦」1981 ある純朴なお手伝いさんに関する物語。上海に住む私の家に、農村の娘・香錦がお手伝いさんとして来ます。香錦は月三十元の給料で、兄と嫂の間に生まれた宝宝の世話や一家の雑事全般を行います。私の母と私は香錦を気に入っていますが、嫂は香錦を蔑んでいて、私と嫂は対立しています。ある日、北京大学で学んでなかなか家に帰らない次兄が帰ってきます。そして、香錦が次兄を慕っているようなので、家族は心配して、香錦を解雇することにします。すると、次兄は「香錦は愛する人と結婚するため、結婚したくない家から受け取ってしまった結納金を返そうとして働いていたんだ」という香錦から聞いた事実を皆に告げます。私は疑ったことを詫びて、香錦に五十元のお金を貸しました。香錦はほぼお金がたまったので、元気に別れを告げて、里に帰っていきました。 PR