『上海 都市生活の現代史』は、上海という都市を年代ごとに区切りながら分析した研究書。
内容が非常に豊富です。上海を通して、中国の歴史全体を俯瞰するかのような内容にもなっています。とくに印象に残った点だけ記載していきたいです。
Ⅰ 上海モダンと民衆生活―1912~37年
企業家、俸給生活者と主婦、労働者と下層民、外国人などさまざまな立場の人の生活がつづられています。また、中国随一の国際都市として発展したことが上海を面白くしたように思いました。英米租界とフランス租界があって統治が困難だったことが、秘密結社などさまざまな勢力が暗躍する要因となったと初めて知り、興味深かったです。
住宅の変遷に関する記述も面白いと感じました。
Ⅱ 戦時・戦後の都市生活―1937~49年
日本による傀儡政権も三種あったこと。時租界に関して。抗争と謀略の都市としての上海。
上海から香港へのビジネスの移転など。日本人の引き上げに関して。
Ⅲ 中国革命の夢と現実─1949~66年
社会主義がどのように上海を変えたのかという点に関して。
単位と居民委員会。三反、五反運動。
民間企業の接収。大躍進政策、マスコミの役割の変遷など。