忍者ブログ

中国文学映画関連 備忘録

孫文「支那の保全・分割について合わせ論ず」

「支那の保全・分割について合わせ論ず」は、孫文が、中国の現状を分析した文章。

『原典中国近代思想史 第三冊』に収録。

孫文は、西洋列強や日本の中国分割論と保全論をそれぞれまとめます。その上で、国勢と民情の点から分析して、国勢について論ずれば保全できる道理はなく、民情について論ずれば分割できる道理はない、とします。そして、満州人の築いた清朝や、それに従属する漢民族の大臣は、人心を集めることができず、逆に洪秀全のように漢民族の者が立ち上がれば、それ続く者は続出する、と指摘します。そして、中国の国土は長年にわたって統一の形があり、分割の勢いはない、という考えを記して、義和団を参考にすればわかるように、漢民族は家族や故郷を守るためには死も恐れず立ち上がるだろうと結論付けます。

近藤邦康翻訳。

『江蘇』第六期(1903年11月)に掲載。署名は逸仙。

清朝を倒して、漢民族の国家を作り上げる、という考え方をうかがうことができます。また、孫文の思想のルーツの一つとして、太平天国がある、ということも理解できます。

PR