『「作家」茅盾論』「第6章 『子夜』私論」「第7章 茅盾小説の世界構造――一九三〇年代の都市・農村イメージ」「第8章 「作家精神」の特質――「疎外」と「不能」男性」 中国関連の本(日) 2018年02月14日 0 『「作家」茅盾論』に関して。 「第6章 『子夜』私論」は、茅盾の代表作と目される『子夜』への分析。著者は、『子夜』は「主題先行」であり、社会構造の絵解きに過ぎない、とする先行研究に反論します。そして、『子夜』には北欧神話の影響を受けた運命観が経済と言う形であらわれて、敵役の姿が曖昧なことによりかえって運命の手先としての怖さがあると評します。 「第7章 茅盾小説の世界構造――一九三〇年代の都市・農村イメージ」は、『子夜』とほぼ同時期に書かれた農村を主題とした短編小説に関する評論。茅盾は、マッチョな貧農の男性に、かすかな希望を見出したのでは、という推論。 「第8章 「作家精神」の特質――「疎外」と「不能」男性」は、武田泰淳の『司馬遷』における「政治的人間」という概念を援用して、茅盾が運命に囚われた「経済的人間」を描いている、とするもの。そして、不能感を大きな要素として取り出します。 これまで、『子夜』しか読んだことがありませんでしたが、茅盾という作家のことを知るきっかけとなりました。非常に興味深い内容です。 PR