『流刑地にて』(白水社)は、『判決』『流刑地にて』『観察』『火夫』を収録。
『判決』
若い商人ゲオルグ・ベンデマンはペテルブルクにいる友人に対して、自分が婚約したことを伝えることを決意します。そして、それを父親に報告したら、論争になり、理解しがたい言葉の応酬が開始されます。ゲオルグは最終的に橋から飛び降ります。
『流刑地にて』
旅人がたまたま死刑執行に招かれます。死刑執行人は言葉を尽くして、十二時間かけて機械で行う残虐な死刑をほめますが、旅人は否定します。すると死刑執行人は諦めて自分を死刑にします。しかし、機械が壊れて、死刑はすぐに終わり、残虐な殺人となります。旅人は去っていきます。
『観察』
詩的で断片的な文章が集められています。
『火夫』
長編『失踪者』の第一章。カールは女中を妊娠させてしまってドイツからアメリカに送られます。船の中で不正を訴える火夫と出会います。そして、船長への申し開きの時、火夫の弁護を行います。しかし、カールはその場で伯父の上院議員と出会い、ボートでともに出発することになります。火夫の弁護は途中で終わります。
久しぶりにカフカの小説を読みましたが、相変わらず面白いと感じます。『判決』のなかの不可解な会話が始まる部分、あとからあらわれる文章がよく前段の文章を否定する点など印象に残ります。