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中国文学映画関連 備忘録

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严浩《滚滚红尘》『レッド・ダスト』

《滚滚红尘》『レッド・ダスト』は严浩監督による1990年の映画。

物語の主人公は沈韶华(林青霞)。沈韶华の父親は母親から愛されなかったことを恨み、沈韶华に辛くあたる。沈韶华と小健の初恋が発覚した後、沈韶华は監禁されたため腕を切り、自殺を試みた。父の死後、沈韶华はようやく解放された。沈韶华は後に小説家になり、半自伝的な作品《白玉兰》を書こうとする。そして、日本軍に協力している文化官の章能才(秦汉)と知り合い、惹かれあう。その後、韶华の親友・月凤(张曼玉)が帰ってくる。三人は仲良く過ごすが、戦況は悪化していった。抗日戦争ののち、能才は身を隠す。そして、能才は他の女性と付き合い、沈韶华と仲違いする。その後、月凤は彼氏とともに国民党批判の活動に参加して,学校で射殺される。国共内戦勃発後、共産党は言論を操作しようとする。韶华は筆を折ることを選び、彼女を慕う余社長と日々を過ごす。その後、街で能才と会うと、韶华は能才を叩く。余社長は二枚のチケットを用意して、韶华とともに大陸脱出を試みる。しかし、韶华は能才を舟に送りだし、自身は残る。そして余社長も残ることを選ぶ。最終的に韶华は普通の人生を送り,後に死去した。章能才は四十年後帰国して,警察官から韶华の小説《白玉兰》を渡される。

張愛玲の人生をモチーフにしているそうです。脚本は三毛。

物語の軸となっているのは沈韶华と章能才の恋愛、沈韶华と月凤の友情です。沈韶华と章能才はお互いに愛し合いながらもすれ違いを繰り返して、結局幸せになることができません。一方、沈韶华と月凤の友情は堅固です。決して崩れることはありません。

ホラーのような血の海、そして、地面を覆い尽くす雨水などが印象的でした。

林青霞と张曼玉が姉妹のように仲良く語り合う場面があります。

張愛玲の小説をもとにした《色,戒》を連想しました。

《滚滚红尘》(1990■滕华涛■林青霞、秦汉、张曼玉、吴耀汉、顾美华■『レッド・ダスト』)
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滕华涛《失恋33天》

《失恋33天》は滕华涛監督による2011年の映画。

黄小仙(白百何)は陆然(郭京飞)と七年間付き合いました。しかし、陆然は黄小仙と別れて、黄小仙の親友・冯佳期(焦俊艳)と付き合うことを選択します。黄小仙の性格が極めて自己中心的だったことが原因でした。黄小仙はプライベートでも仕事でも悩みます。しかし、黄小仙は、一見ゲイのような同僚・王小贱(文章)とともに仕事にあたります。そして、台湾なまりで着飾ることに執着する女性の結婚式の準備などを担当します。

中国で大ヒットした恋愛映画。

シニカルな部分もあり、心温まる部分もあります。とくに中国のさまざまな現象を風刺しているかのような部分は面白かったです。

また、白百何、文章の演技も素晴らしいです。

原作をよく消化しているように思われました。


《失恋33天》(2011■滕华涛■白百何、文章、郭京飞、张嘉译、王耀慶、张子萱■)

陈可辛《甜蜜蜜》『ラブソング』

《甜蜜蜜》『ラブソング』は陈可辛が制作した1996年の作品。

1986年3月、黎小军(黎明)はガールフレンド小婷(杨恭如)に別れを告げて天津から香港へ来る。いつの日か、小婷を香港に招いて結婚するためだった。黎小军はマクドナルドで広東から李翘(张曼玉)と出会った後,邓丽君の歌をきっかけにして愛し合うようになる。しかし、黎小军は最終的に、小婷を香港に呼び結婚する。そして、李翘は裏社会の人間・豹哥(曾志伟)とつきあう。黎小军はその後小婷に事実を告げて謝罪した後離別、ニューヨークに渡る。李翘も豹哥とともにニューヨークに移住する。豹哥が現地の若者に殺された後、1995年、黎小军と李翘は街角で再開する。
非常に心を打たれる作品です。

邓丽君の歌が随所に用いられています。邓丽君がさまざまな土地でさまざまな人たちに愛されていたのだ、ということを再確認しました。

香港の風俗、風景などがよくうつしだされています。とくに当時の香港の風景は興味深いです。

大陸の人たちは香港を夢見て、香港の人たちはアメリカなど他の土地を夢見る当時の状況が伝わってきます。その状況の背景には、香港返還が迫っていることなどが影響しているのかも知れません。

张曼玉は広州から、黎明は天津から香港に出稼ぎにきた人間を演じています。黎小军と李翘が結ばれるのは、年越しの夜です。故郷から遠く離れて、家族と過ごすこともできないことが寂しさを浮き上がらせます。

《甜蜜蜜》(1996■陈可辛■张曼玉、黎明、杨恭如、曾志伟■『ラブソング』)

冯小刚《天下无贼》『イノセントワールド -天下無賊-』

《天下无贼》は冯小刚監督が制作した2004年の映画。

傻根(王宝强)は河北の山村出身,四川省自治区で働く純粋な若者だ。五年間で六万元をためて記者で故郷に帰り、結婚しようとしている。寺院で傻根は王丽(刘若英)を救い、記者に乗り込む。その汽車には、王博(刘德华)と王丽スリ夫婦、そして、スリの頭領・黎叔(葛优)とその一派、二当家(尤勇)、美女小叶(李冰冰)、四眼(林家栋)も乗っている。王丽は傻根の純粋さに感動して彼と彼のお金を守ろうとする。そして、王丽は王博に対して傻根のお金を盗まないように頼み、王博の子どもを妊娠したから善事をしたいのだと告げる。その後、警察が現れて、全てのスリたちを逮捕する。その後、王丽は辛くも脱出するが、王博は傻根のお金を守るため黎叔と争って命を落とす。黎叔は警察官(张涵予)に逮捕される。
新年映画。

人生の意味などを考えさせられる良作。原作があるそうです。

香港の刘德华、台湾の刘若英、中国の葛优、王宝强、李冰冰が一堂に会しています。それぞれの役者がそれぞれの役柄によくあっていて非常に面白いです。とくに、純粋な若者を演じる王宝强。よく似合っています。

スリどうしの戦いの場面も面白いです。

《天下无贼》(2004■冯小刚■刘德华、刘若英、葛优、王宝强、李冰冰、张涵予■『イノセントワールド -天下無賊-』)

张婉婷《宋家皇朝》『宋家の三姉妹』

《宋家皇朝》『宋家の三姉妹』は张婉婷が制作した1997年の映画。

中国近代史の中で大きな役割を果たした宋家の三姉妹を中心にして、中国の歴史を描いています。宋霭龄(杨紫琼)は 宋家の長女であり、富豪・孔祥熙に嫁ぎます(金を愛する)。宋庆龄(张曼玉)は宋家の次女であり、孙文に嫁ぎます(国を愛する)。宋美龄(邬君梅)は宋家の三女であり、蒋介石に嫁ぎます(権力を愛する)。
中国の近代史を扱うとなると、一本の映画にまとめるのは非常に困難になります。しかし、家族の物語として構成して、登場する人物を限定したため非常に明快になり、映画として見やすくなっていると感じました。

蒋介石に関しては一定程度同情的に描かれていると感じました。

張曼玉が実質的な主役であり、目をひきます。

東京外国語大学の語劇が『宋家の三姉妹』をもとにしていたので、その内容を思い出しながら、見ました。印象に残る台詞が数多くあるとあらためて感じました。


《宋家皇朝》(1997■张婉婷■張曼玉、楊紫瓊、鄔君梅、姜文、金燕玲、趙文瑄、吳興國■『宋家の三姉妹』)