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中国文学映画関連 備忘録

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4/23『霸王别姬』

陳凱歌『霸王别姬』(1993)をようやく見ました。京劇を中心に据えた香港中国合作の歴史映画。絶対見るべきと勧められていたのですが、見て良かったです。

物語の軸となるのは、京劇で虞美人を演じる程蝶衣・小豆子(張國榮)、項羽を演じる段小楼・石頭(張豊毅)、段小楼を愛する娼婦の菊仙(鞏俐)。

民国、日本軍、国民党、共産党とめまぐるしく統治者が変わる中、三人は激しい時代の流れに翻弄されます。京劇と段小楼に対して強烈な思いを持つ程蝶衣。段小楼との平穏な生活を望む菊仙。二人の思いに答えきれない段小楼。三人は時に支え合いながら、時に傷つけ合うこととなります。

各々の登場人物たちのイメージが非常に鮮烈です。小豆子をなんとしても手放さなければならない娼婦の母。小豆子と石頭に壮絶な訓練を強いる師匠。文化大革命の時期にあらゆる文化をぶち壊して文化人に自己批判を迫る紅衛兵たち。

共産党統治下、文化大革命の時期に中国を包んだ目を背けたくなるような状況に関しては、他の文学作品や映画作品でも取り上げられていますが、『霸王别姬』でもしっかりと描き出されています。

また、作中では日本軍人もまた京劇に対して一定の理解を示して尊重した、という設定になっています。その点などは非常に興味深いです。

見ていて、たくさんのことを考えさせられて本当に凄いな、と思いました。なかなか、まとめることができないです。
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4/20「好男好女」

侯孝賢《好男好女》(1995年)は台湾日本合作の歴史映画。

作中では、1950年代台湾の白色テロで夫を失った女性・蔣碧玉の物語と、蔣碧玉に関する演劇と、劇の中で蔣碧玉を演じている現代の女性・梁静の物語が交錯します。

標準語と台湾語(闽南话)、広東語(多分)、日本語が入り乱れています。とくに台湾語で難解な事象に関して論じている場面が、興味深かったです。また、劇中で再現されている台湾の風俗には目を引かれました。

失われかけた台湾語・台湾を再現しながら、台湾アイデンティティを抑圧した白色テロの傷跡の記憶を描いている、とするならば、この作品は台湾復興の一つのあらわれである、と映画評論家ならば言いそう。なかなか一筋縄でいく作品ではなさそうですが…

4/16「客途秋恨(1990)」

許鞍華監督作品「客途秋恨(1990)」はとても興味深い映画でした。香港、澳門、広州、日本にまたがる物語。
晓恩はイギリスで修士号をとった後妹の結婚式に参加するため香港に帰ります。再会した日本人の母親との反目の中、幼い頃澳門の父方の祖父母の家で祖父母に懐き、母親とは仲が悪かったことを想起します。その後、精神的に苦しむ母親のため、晓恩は母親とともに日本の母親の実家に帰りますが、日本語の世界で疎外感を感じて、母親への共感を持ち、また戦時中満州における父母の偶然の出会いを理解して、様々なことを考えます。

中国語、英語、日本語、広東語などが入り混じっていて言葉の面から考えても面白そう。
また、昔の香港や広州や日本の風景がそれぞれとても綺麗なので、その点もみごたえがありました。