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中国文学映画関連 備忘録

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贾樟柯《世界》

《世界》は贾樟柯監督の2004年の作品。

赵小桃(赵涛)は山西人。北京に上京して、北京の世界公園でダンサーをしています。彼の現在の彼氏は公園の警備員・成太生(成泰燊)です。赵小桃は結婚を望みますが、成太生は曖昧な態度をとり続けています。成太生の同郷人、三赖(王宏伟)は“二姑娘”というあだなの若者を北京に連れてきて建築現場でともに働きます。

成太生は友人から頼まれて、廖姐(黄依群)に付き添い、山西省に借金の処理に行きます。赵小桃は公園でロシア人の女性アンナと知り合いますが,アンナは程なくして仕事を替えます。そして別れ際に赵小桃はアンナから歌を教わります。成太生は赵小桃に汚いホテルでセックスを迫りますが、赵小桃は拒絶します。成太生は廖姐に接近します。一方、赵小桃は同僚とともにカラオケに誘われて、その席で男性から関係を迫られますが拒絶します。そして、そのカラオケのトイレで偶然アンナと再開して涙します。

“二姑娘”は夜中に残業して事故に遭います。そして、さまざまな人間に借金している、と書き残して死にます。彼の兄(韩三明)は北京にして救済金をもらって帰ります。赵小桃は遂に成太生との性行為に同意します。しかし赵小桃は、廖姐が出国する間際、成太生に送った愛のメッセージを発見します。そして、二人の間には距離が生まれます。最終的に二人は部屋で、一酸化中毒になります。

赵小桃という女性に関する映画。
長回しが多く、さまざまな風景や音が画面の中にはいりこんでいます。とくにテレビの音や近くの物音などが台詞と並行して聞こえることにより、臨場感が生まれています。また、顔のアップはほとんどありません。だから、かえって登場人物の表情や心情を推測させられることになります。

ロシア人とのやりとりの中で、分かり合うとはどういうことかと考えさせられました。

登場人物と同じくらい、風景が重視されています。不自然にも思えるアニメーションが挿入されることにより、いっそう北京の風景が浮き立ちます。

脇役ですが、韩三明の存在が印象に残ります。

動物とダンスに関して、気になりました。他の贾樟柯映画でも動物とダンスが特徴的に描かれていたので、総合的に分析したら面白そうです。

《世界》(2004■贾樟柯■赵涛、成泰燊、黄依群■『世界』)
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見た映画

《马路天使》(1935■袁牧之■赵丹、周璇)
《红高粱》(1987■张艺谋■姜文、巩俐、滕汝骏■『紅いコーリャン』)
《旺角卡门》(1988■王家卫■刘德华、张曼玉、张学友、万梓良■『いますぐ抱きしめたい』)
《客途秋恨》(1990■许鞍华■陆小芬、张曼玉)
《活着》(1993■张艺谋■葛优、巩俐■『活きる』)
《霸王别姬》(1993■陈凯歌■张国荣、巩俐、张丰毅■『さらば、わが愛』)
《重庆森林》(1994■王家卫■林青霞、梁朝伟、王菲、金城武、周嘉玲■『恋する惑星』)
《大话西游之月光宝盒》(1994■刘镇伟■周星驰、朱茵、莫文蔚、蓝洁瑛、吴孟达、罗家英■『チャイニーズ・オデッセイ Part1 月光の恋』)
《饮食男女》(1994■李安■郎雄、吴倩莲、杨贵媚、王渝文■『恋人たちの食卓』)
《好男好女》(1995■侯孝贤■伊能静、林强、高捷)
《小武》(1997■贾樟柯■王宏伟■『一瞬の夢』)
《鬼子来了》(2000■姜文■姜文、姜鸿波、香川照之■『鬼が来た!』)
《绿茶》(2002■张元■姜文、赵薇■『緑茶』)
《如果.爱》(2005■陈可辛■周迅、金城武、张学友、池珍熙■『ウィンター・ソング』)
《满城尽带黄金甲》(2006■张艺谋■周润发、巩俐、周杰伦、刘烨 ■『王妃の紋章』)
《三峡好人》(2006■贾樟柯■赵涛、韩三明、王宏伟■『長江哀歌』)
《夜宴》(2006■冯小刚■章子怡、葛优、吴彦祖、周迅、黄晓明、马精武■『女帝 [エンペラー]』)
《色,戒》(2007■李安■梁朝伟、汤唯、陈冲、王力宏■『ラスト、コーション』)
《赤壁》(2008、2009■吴宇森■金城武、梁朝伟、林志玲、张丰毅、张震、赵薇、胡军■『レッドクリフ』)
《二十四城记》(2008■贾樟柯■陈冲、吕丽萍、赵涛、陈建斌 ■『四川のうた』)
《海角七號》(2008■魏德圣■范逸臣、田中千绘、中孝介■『海角七号 君想う、国境の南』)
《梅兰芳》(2008■陈凯歌■黎明、章子怡、陈红、孙红雷■『花の生涯~梅蘭芳~』)
《让子弹飞》(2010■姜文■姜文、周润发、葛优、刘嘉玲、陈坤■『さらば復讐の狼たちよ』)
《人在囧途》(2010■叶伟民■徐峥、王宝强、李曼、李小璐■)
《山楂树之恋》(2010■张艺谋■周冬雨、窦骁■『サンザシの樹の下で』)
《那些年,我们一起追的女孩》(2011■九把刀■柯震东、陈妍希■『あの頃、君を追いかけた』)
 《中国合伙人》(2013■陈可辛■黄晓明、邓超、佟大为■『アメリカン・ドリーム・イン・チャイナ』)
《天注定》(2013■贾樟柯■姜武、王宝强、赵涛、罗蓝山■『罪の手ざわり』)
《何以笙簫默》(2015■杨文军、黄斌■黄晓明、杨幂、佟大为、Angelababy■)
《西游记之大圣归来》(2015■动画电影)

 


陈可辛《如果爱》『ウィンター・ソング』

《如果爱》『ウィンター・ソング』は陈可辛が制作した2005年の香港映画。

現在と過去が交錯する恋愛映画。ミュージカルが取り入れられています。

2005年上海,中国のスター女優、孙纳(周迅)と香港のスター男優、林见东(金城武)はミュージカル映画で共演することになります。その映画の監督を勤めるのは、孙纳と深い仲にあり、今では大監督として知られる聂文(张学友)でした。その映画のストーリーは、まるで現在の三人を反映したかのような内容となります。

1995年北京映画を学ぶ林见东は偶然、孙纳と出会います。林见东は監督になりたいと望み、孙纳は大女優になりたいと望みました。二人は助け合い、愛し合うようになります。しかし、孙纳は映画界における成功を勝ち取るため、他の監督たちに靡き、林见东のもとを去ります。 その後、林见东も男優として成功して、2005年、二人は終に共演を果たしました。林见东は孙纳に再び惹かれます。しかし、孙纳は、もうすでにかつての孙纳ではありません。そのため林见东の心は揺れ動きます。林见东は孙纳とともに、かつて二人がともに過ごした北京の家に戻ります。そして、愛し合います。孙纳は林见东に対する思いを再確認します。聂文はそれを理解して、去ります。一方、林见东もまた自分の思いに決着をつけることができたためか去ります。そして孙纳は一人取り残されます。
 
池珍熙が人々の大切な記憶を取り戻させるものとして、興味深い役柄で登場します。

映画それ自体に対する自己言及を含んでいます。映画に関する映画ともいえるかも知れません。


蓮實 重彦『帰ってきた映画狂人』

『帰ってきた映画狂人』は蓮實重彦の講演、蓮實重彦に対するインタビューをまとめたもの。

蓮實重彦の映画批評が一斉を風靡した理由がわかるような気がします。

映画とは何か、批評とは何か、ということを考える上では役に立つかもしれません。

张艺谋《满城尽带黄金甲》

《满城尽带黄金甲》『王妃の紋章』は、張芸謀が制作した2006年の映画。

曹禺の代表作『雷雨』を翻案した物語。中国王朝の歴史の中に、家族の物語を当てはめていますが史実とは関係がないそうです。

大王(周润发)は一介の軍人でしたが、大王に上り詰めました。彼はかつて隣国の公主・元配夫人(陈瑾)との間と結婚して二人の間に太子・元祥(刘烨)が生まれます。しかし、大王は元配夫人を捨てて、後妻・王后(巩俐)を娶ります。二人の間に二王子・元杰(周杰伦)と三王子・秦俊杰が生まれます。一方、元配夫人は名を隠して蒋太医(倪大宏)に嫁ぎ、蒋婵(李曼)を生みます。
継母にあたる王后と太子は密かに愛し合います。大王は、その乱倫に気付き、王后の薬の中に慢性の毒を入れさせます。王后は報復を試みて,二王子元杰を説得して、重陽節の際に大王を殺そうとします。太子は、さらに実は実の妹にあたる蒋太医の娘・蒋婵ともその事実を知らず、愛し合います。重陽節の日、大王は蒋太医一家を殺そうとします。しかし、元配夫人と蒋蝉は王后に救われて宮殿に招かれます。しかし、そこで王后が、太子と蒋婵の関係を告げると蒋婵は発狂して殺されます。元杰は王后のため宮廷に攻め込みます。しかし、反乱は失敗して元傑は捕えられます。一方、三王子元成が太子を刺殺して、権力を奪取しようとします。しかし大王は、元成を殺します。その後、大王は元傑を後継者と定めます。その上で、王后に毎日毒を飲ませることを罰として与えますが、元傑は自刎します。


非常にどろどろとした物語です。

巩俐の演技がとくに印象に残ります。

歴史劇にしたことによって、CGを使用した壮大な戦闘シーン、骨肉の殺し合いなどの表現が組み込まれました。そして、多くの歴史劇ファンを観客として巻き込むことも可能になったようです。ただ、陳腐な戦闘シーンのために時間を割けば、人間関係を描く時間が減ります。