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中国文学映画関連 備忘録

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冯小刚《非诚勿扰》『狙った恋の落とし方。』

《非诚勿扰》『狙った恋の落とし方。』は、冯小刚が制作した2008年の映画。

海外で一山あてて財産を築いた実業家・秦奋(葛优)は40歳になりますが、未婚です。中国に帰り、ネットでお見合い相手を募集します。秦奋の前には、ゲイの元同僚、墓売り、セックスを嫌って離婚した女性、妊娠して父親を探している台湾実業家などがあらわれます。秦奋は、結局、一途なキャビンアテンダント笑笑(舒淇)に惹かれます。笑笑は妻子のいる男性を深く愛しています。しかし、男性が結婚を受け入れないため結局、笑笑はその記憶を振り切るようにして秦奋とともに思い出の地・北海道に赴きます。笑笑は旅の末、自殺を試みますが辛くも助かります。秦奋は笑笑に連れ添うことを決めます。

中国で大ヒットした正月映画。

コミカルな部分もありますが、基本的には非常に重い心を打つ物語です。秦奋は極めて強情で自分の考えに忠実ですが、決して悪い人ではありません。その点が面白さを生んでいます。葛优の演技が素晴らしいです。

秦奋をはじめとする男性たちは、文化大革命などの影響を受けた最後の世代にあたるようです。北海道で秦奋に付き添う男性などのストーリーは印象に残ります。文革後、中国を飛び出した人たちの歴史に関しては考えてみると非常に苦労が多い、と予想できます。だからこそ、さまざまだからこそ中国で共感を呼んだのかもしれません。

さまざまな土地が描かれます。

北海道が物語の舞台となっているため、中国で北海道ブームを巻き起こしたそうです。日本との関わりから考えてみても面白そうです。


《非诚勿扰》(2008■冯小刚■葛优、舒淇、方中信、冯远征、胡可、徐若瑄、范伟■『狙った恋の落とし方。』)
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王家卫《阿飞正传》『欲望の翼』

《阿飞正传》『欲望の翼』は王家卫が制作した1990年の映画。

1960年代初期の物語。旭仔・阿飞(张国荣)は上海移民であり、継母(潘迪华)に育てられてまだ実の母に会ったことがない。阿飞は一貫して女性に対して冷酷な態度をとり、気に入らないと即座に捨てる。南華体育会のチケット売り苏丽珍(张曼玉)とダンサー咪咪(刘嘉玲)と同居するが、苏丽珍から結婚を求めると別れを告げる。阿飞は、実の母に会うためフィリピンに赴く。しかし、母は面会を拒絶する。阿飞は出発する前、車を歪仔(张学友)に残した。咪咪は阿飞が去ったことを知ると彼のあとを追おうとする。歪仔は彼女に阿飞がフィリピンに行ったことを告げて、預かった車を売り、旅費として彼女に差し出す。苏丽珍に惹かれていた警察官・超仔(刘德华)は苏丽珍と旭仔の決裂を聞き届けると母の死後船乗りになる。超仔はフィリピンで旭仔と偶然出会うが会ったことがないふりをする。程なくして、旭仔は偽パスポートの売買で重傷を負う。超仔は列車の中で、旭仔が苏丽珍と出会った瞬間を記憶していることを確認する。しかし、旭仔は苏丽珍には忘れたと伝えて欲しいと頼み、死を迎える。

阿飞という男性に関する映画。

退廃的な雰囲気を醸し出している张国荣の演技が印象に残ります。

当時のビッグスターたちが数多く登場しています。映画の最後の部分に、少しだけ梁朝伟が登場します。
画面の中に、鏡、時計、チャイナドレス、タバコといったものが散りばめられています。そして、王家衛らしく物を拭く場面などもあります。また、うなじ、背中、足をうつす画面などもあり、非常に興味深いです。

最初と最後に挿入された動く汽車から見た風景が映画を連関させているような印象を与えます。


《阿飞正传》(1972■王家卫■张国荣、刘德华、张曼玉、刘嘉玲、张学友、梁朝伟■『欲望の翼』)

罗维《精武门》『ドラゴン怒りの鉄拳』

《精武门》『ドラゴン怒りの鉄拳』は罗维監督による1972年の映画。

李小龙ブルース・リーの出世作。アジア全域で大ヒットして、カンフー映画ブームの火付け役となったそうです。

物語の舞台は、民国初期の上海。陈真は上海租界にある精武館を訪れた。師匠・霍元甲の葬式に参加するため、また幼馴染と結婚するためでもあった。霍元甲の葬儀の時、虹口道场の胡通訳が日本人武術者とともに「东亚病夫」という扁額を持って挑発に現れる。陈真は激怒して、虹口道场に乗り込み、日本人武術者たちを叩きのめして、その扁額を返す。铃木宽の一派は報復として精武館を破壊して、陈真を差し出すように求める。陈真は仲間に促されて上海脱出を計画する。しかし、偶然師匠が暗殺された証拠を突き止めて、下手人二人を殺害。さらに黒幕の胡通訳も殺害する。その後、電話の修理のふりをして、虹口道场に忍び込む。そして、铃木宽とその一派を叩きのめして殺す。しかし、同じ時に铃木宽の一派が精武館を襲撃して、大部分の者を殺害。出掛けていて助かった大师兄たちは、日本領事館から陈真を差し出すように求められる。そして、精武館に戻ってきた陈真は仲間のため、無数の銃口に向かって飛び出していく・・・

カンフー映画。

ブルース・リーのアクションシーンは非常にみごたえがあります。刀とヌンチャクの勝負、ヌンチャクと大人数との勝負など、ヌンチャクが自在に活用されています。

日本人の描かれ方が印象に残ります。全く礼を顧みず、少し間抜けで下品な人たちとして描かれています。狡猾さなどはあまり感じることができません。

日本家屋が登場している点も気になりました。

ブルース・リーの他の作品に関しても見てみたいです。


《精武门》(1972■罗维■李小龙、苗可秀、田丰、田俊■『ドラゴン怒りの鉄拳』)

余华《西北风呼啸的中午》

《西北风呼啸的中午》は余华の短編小説。

1987年2月24日。

余華は他人から知らない人間が友人だったと言われて、その人間の葬式に無理やり出席させられます。そして、その人の母親のために終生尽くさなければならなくなります。

余華の初期の小説は、奇妙な味わいといわれますが《西北风呼啸的中午》も奇妙な小説です。

陈凯歌《孩子王》『子供たちの王様』

《孩子王》『子供たちの王様』は陈凯歌監督が制作した1987年の映画

文化大革命の動乱の頃の物語。ある日、七年間農村で農作業に従事していた老杆(谢园)は、突然教師に任命されて小学校に赴くことになります。周囲の人間は喜んで、老杆を送り出します。しかし、学校は貧しく、学生たちは教科書もなく、先生が黒板に書いた文章をただ書き写しているだけでした。老杆は悩みを抱えながらも、独自に、子供たちに自分の言葉で作文するよう促す授業をつくりだします。その後、老杆の友人・娣特は老杆に字典を送ります。貧しい家に生まれた王福は、字典を欲しがります。学校の改築の一環で竹を切りに行く時、老杆と王福は字典を巡って賭けをします。それは、明日の労働のことを今日作文できたら王福の勝利というものでした。王福は前もって作文を書き、父親といっしょに竹を切り、日記を実現します。しかし、老杆は「あることを記録する時は,永遠に起こった後だ」といい、王福は敗北を認めます。その後、王福は書き写すと覚えるから、といって老杆の部屋でひたすら字典を写します。その後、老杆は子供たちに自分の思いを綴ったかのような歌を教えます。しかし、老杆の独特の教育法が校長から嫌われて、老杆は教師を辞めさせられます。そして老杆は王福のために字典を置き、字典を写すな、と記して去ります。最後は雲南省の自然が野焼きに晒される場面で終わります。

画面の中では、雲南省の自然がきれいにうつされています。映画を大画面で見たい、そして雲南省に実際にいきたい、と感じました。

しかし、自然が美しいというだけではなく、文化大革命を問い直す内容にもなっていて考えさせられます。

登場人物たちの沈黙と笑い。「从前有座山」の歌詞。そして、老杆のつくった歌。ことごとく心を打ちます。

空が大きくうつされている点が印象に残ります。ただ、遠くから先生やこどもたちをうつしている時、字幕とかぶってしまっていたので、字幕のないものを改めて見たいと思いました。


《孩子王》(1987■陈凯歌■ 谢园、杨学文、陈绍华■『子供たちの王様』)