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中国文学映画関連 備忘録

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管虎《老炮儿》

《老炮儿》は管虎監督による2015年の映画。

物語の主人公は六爷(冯小刚)。若い頃は自らの定めた道理に従い、力で全てを解決してきた。しかし、現在では鳥を買い、闷三儿(张涵予)静かに暮らしている。ある日、彼は息子・晓波(李易峰)が災いを招いたと知る。晓波が、ヤンキーのリーダー谭小飞(吴亦凡)の彼女に手を出して諍いが起こり、晓波は小飞のフェラーリに傷を付けて弁償できず監禁されていたのだ。六爷は息子を救うため10万元を集める。しかし、金を返す日、六爷の友人・灯罩儿(刘桦)が早まって車を修理するためペンキを塗り、かえって事態を混乱させる。双方は、一週間後、颐和园の背後にある凍った湖面の上で決着をつけることとなる。谭小飞の彼女が、晓波のためを思って、六爷に10万元と晓波を密かに返しにくる。六爷と晓波は初めて心を通わせて語り合う。しかし、程なくして六爷と晓波は道端で襲われる。谭小飞の彼女がうっかり、六爷に、10万元とともに700万ユーロを超えるスイス銀行の為替受取証を渡したのだ。谭小飞の父は政府の高官であり、それらは恐らく大規模な汚職を示すものだった。六爷は谭小飞の父の脅しを無視して、それを中央規律委員会に送って谭小飞の父を告発することを選ぶ。そして決戦の日、六爷は日本刀を持って湖に向かう。闷三儿が六爷の旧友を集めて助太刀に現れる。六爷は湖面の上で病に倒れる。

北京の物語。

若手のイケメン俳優を配したこともあり、中国でも非常にヒットしたそうです。TFBOYSが少しだけ画面に登場します。ただし、映画自体は冯小刚たち年老いた男たちの独壇場といえます。

北京なまりの中国語が自在に活用されています。

冯小刚の演技が素晴らしいです。そして、吴亦凡が非常に格好良いです。六爷と谭小飞は心を通わせることになりますが、その点が非常に面白いです。また谭小飞が六爷に対して「あなたに会うまで、あなたのような人間は小説の中にしかいないと思っていた」と言っていますが、その台詞がとても響きます。


《老炮儿》(2005年■管虎■冯小刚、张涵予、许晴、吴亦凡、李易峰■)
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陈正道《101次求婚》『101回目のプロポーズ』

《101次求婚》『101回目のプロポーズ』は陈正道監督による2013年の映画。
 
建築現場で働く内装会社の黄达(黄渤)はお見合いで99回失敗してきた。高名なバイオリニスト叶薰(林志玲)は3年前結婚式に婚約者・许卓(高以翔)が現れなかったため、傷付いて心を閉ざしている。黄达は99回目のお見合いの時、偶然叶薰と出会い、惹かれていく。そして、走る車の前に立ち塞がり、叶薰の親友・桃子(秦海璐)の応援も受けて、その思いを示す。叶熏は次第に黄达を信頼していくが、许卓が突如として現れる。黄达は许卓から求められて、叶薰の幸せのために身を引く。しかし叶薰はすでに黄达を愛していた。许卓がちょうど叶薰と結婚式をしようとした時桃子は叶薰にテレビを見せる。黄达正は彼の夢を実現するために音楽番組“中国梦想秀”で歌い始めた。その後、许卓は叶 薰の気持ちを察して、三年前現実から逃避するため消えたのだと告げて叶薰を解放する。叶薰は結婚式を抜け出して“中国梦想秀”の現場に赴き、黄达と結婚することを選んだ。
 
日本のドラマ『101回目のプロポーズ』のリメイク。
 
日本の映像作品に対するリスペクトが感じられる作品となっています。武田鉄矢が特別ゲストとして出演しています。そして、日本語で叶薰(林志玲)と黄达(黄渤)に愛を語ります。叶薰が日本に留学したことがあるという設定のため、林志玲の日本語を聞くこともできます。
 
お見合い、音楽番組など、中国の流行と風俗などが巧みに画面の中に取り込まれていて非常に感心しました。
 
物語の展開自体は予想通りですが、その点がかえって安心させてくれます。
 
中国語をしゃべっている時に英語を混ぜて喋る嫌みな男も登場します。
 
 
《101次求婚》(2013■陈正道■林志玲、黄渤、高以翔、秦海璐、武田铁矢■『101回目のプロポーズ』)

姜文『太陽の少年』《阳光灿烂的日子》

『太陽の少年』《阳光灿烂的日子》は姜文監督による1994年の作品。

物語の舞台は、文革時期の北京。马小军(夏雨)はよく授業をさぼり、鍵を勝手に開けて人の家に忍び込むことを趣味としていました。たまたま忍び込んだ部屋で水着姿の少女の写真を見て惹かれます。ある日、马小军は、その写真の少女を見かけます。その後、少女に対して自分の雄姿を見せつけようとして必死に仲良くなろうとします。その少女は米兰(宁静)といいました。马小军はある時、米兰を遊び仲間に誘いますが、米兰と刘忆苦(耿乐)が仲良いので嫉妬します。その後、马小军と刘忆苦が同じ日に誕生日を迎えると米兰が二人に贈物を送ります。米兰と刘忆苦はすでに非常に親密でした。その後、马小军は米兰を襲おうとしますが失敗。二ヶ月後、米兰と仲間たちの連絡が途絶えます。結局、皆バラバラになり、大人になっていきます。

姜文が監督をつとめた初めての作品。

王朔の小説《动物凶猛》をもとにしているそうです。

文革期の都市の様子が伝わってきて非常に面白いです。大人が去り、こどもたちが勉強することもなく、好きなように振る舞っている様子は、今から振り返ると非常に問題が大きいように思います。しかし、当時の子どもたちからしたら非常に幸せな環境かも知れません。

余華が文革期に学生生活を送り、全く勉強しなかったと綴っていますが、よく理解できます。

青春の甘酸っぱくて苦い記憶を生々しく描き出しています。物語全体が马小军による回想というスタイルになっています。ただ、马小军は自ら記憶を信頼できないと指摘して、そもそも米兰と仲良くなった記憶自体が捏造かも知れない、とまでいいます。物語る人自体が信頼できない語り手だという点が、非常に文学的。



《阳光灿烂的日子》(1994■姜文■夏雨、宁静、陶虹、耿乐■『太陽の少年』)

严浩《滚滚红尘》『レッド・ダスト』

《滚滚红尘》『レッド・ダスト』は严浩監督による1990年の映画。

物語の主人公は沈韶华(林青霞)。沈韶华の父親は母親から愛されなかったことを恨み、沈韶华に辛くあたる。沈韶华と小健の初恋が発覚した後、沈韶华は監禁されたため腕を切り、自殺を試みた。父の死後、沈韶华はようやく解放された。沈韶华は後に小説家になり、半自伝的な作品《白玉兰》を書こうとする。そして、日本軍に協力している文化官の章能才(秦汉)と知り合い、惹かれあう。その後、韶华の親友・月凤(张曼玉)が帰ってくる。三人は仲良く過ごすが、戦況は悪化していった。抗日戦争ののち、能才は身を隠す。そして、能才は他の女性と付き合い、沈韶华と仲違いする。その後、月凤は彼氏とともに国民党批判の活動に参加して,学校で射殺される。国共内戦勃発後、共産党は言論を操作しようとする。韶华は筆を折ることを選び、彼女を慕う余社長と日々を過ごす。その後、街で能才と会うと、韶华は能才を叩く。余社長は二枚のチケットを用意して、韶华とともに大陸脱出を試みる。しかし、韶华は能才を舟に送りだし、自身は残る。そして余社長も残ることを選ぶ。最終的に韶华は普通の人生を送り,後に死去した。章能才は四十年後帰国して,警察官から韶华の小説《白玉兰》を渡される。

張愛玲の人生をモチーフにしているそうです。脚本は三毛。

物語の軸となっているのは沈韶华と章能才の恋愛、沈韶华と月凤の友情です。沈韶华と章能才はお互いに愛し合いながらもすれ違いを繰り返して、結局幸せになることができません。一方、沈韶华と月凤の友情は堅固です。決して崩れることはありません。

ホラーのような血の海、そして、地面を覆い尽くす雨水などが印象的でした。

林青霞と张曼玉が姉妹のように仲良く語り合う場面があります。

張愛玲の小説をもとにした《色,戒》を連想しました。

《滚滚红尘》(1990■滕华涛■林青霞、秦汉、张曼玉、吴耀汉、顾美华■『レッド・ダスト』)