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中国文学映画関連 備忘録

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余华《女人的胜利》

《女人的胜利》は余华の小説。

1995年9月9日。

ある夫婦の物語。林红という名前の女性は、夫・李汉林が外出している時、鍵を見つけます。そして、その鍵を手掛かりにして、李汉林が青青という女性と親密にしていることを知ります。その後、林红は親友の助言を聞いて、李汉林を無視することにします。李汉林は青青との関係をもう終わりにすると釈明しますが二人の関係は元には戻りません。毎日、林红はベッドで、李汉林はソファで寝起きします。林红が挑発しても李汉林は抵抗せず、ただ黙ります。しかし、李汉林は決して謝ろうとはしません。李汉林は離婚しようといいます。しかし、林红が離婚を聞き入れないと李汉林は喜びます。しかし、その喜びを見透かして林红は離婚を選ぼうとします。二人は離婚するために事務所に向かいます。そして、結婚を届け出た時立ち寄ったカフェに行きます。そこには青青らしき女性がいました。林红は李汉林にキスを求めます。二人は抱き合い、キスをします。林红はその過程で李汉林をコントロールします。そして、青青は立ち去り、林红は家に帰ろうといいます。

夫婦の駆け引きを描いています。

現実離れした描写や展開などはとくにありません。生活の中における微妙な駆け引きが描かれています。

夫も妻も決して別れることは望んでいないようです。しかし、先に和解に応じたら譲歩することになるので、対立を続けます。現実の世界でもよく起こりそうな事態が巧みに描かれています。
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姜文《让子弹飞》『さらば復讐の狼たちよ』

《让子弹飞》『さらば復讐の狼たちよ』は姜文監督による2010年の映画。

民国八年(1919年),県長の地位を金で買った马邦德(葛优)は妻(刘嘉玲)、师爷(冯小刚)とともに任地へ向かう。その途中で馬賊の「张麻子」(原名张牧之,姜文)の待ち伏せに遭い、夫婦だけが助かる。马邦德は命を守るため汤师爷と名乗り、「张麻子」を言いくるめようとする。张麻子は马邦德の言葉に従い、県長のふりをして鹅城に行き、財産を得ようとする。しかし、鹅城は物流によって巨額の富を蓄えた土豪の黄四郎(周润发)によって支配されていた。张麻子と黄四郎は相容れず、争うことになる。最終的に张麻子は民衆に銀を配り、それを黄四郎に回収させることによって民衆の黄四郎への怒りを煽る。さらに、民衆に大量の銃を配り、黄四郎の影武者を殺して民衆をたきつけることによって、黄四郎を倒した。

四川作家・马识途の長編小说《夜谭十记》の中の《盗官记》の一節を映画化したそうです。

张麻子(姜文)、黄四郎(周润发)、马邦德(葛优)の三つ巴の戦いが描かれています。张麻子(姜文)は学問を知りませんが戦闘に長けています。公平を理念として掲げます。一方、黄四郎(周润发)は圧倒的な権力を背景として、残虐な手段を用います。一方、马邦德(葛优)は達者な口と強い者に従う戦略で勝ち残ろうとします。

中国では2010年最大のヒットになり、国産映画の記録を塗り替えたそうです。

黄四郎(周润发)の影武者が物語の中で思わぬ活躍を見せます。その点が非常に面白いです。

女性も一応登場しますが基本的には男たちの戦いの物語になっています。ただ、その男たちも決して英雄ではなく、欠点がある者として、シニカルかつコミカルに描き出されています。その点が面白いです。

《让子弹飞》(2010■姜文■姜文、周润发、葛优、冯小刚、刘嘉玲、周韵■『さらば復讐の狼たちよ』)

佐藤忠男『中国映画の100年』

『中国映画の100年』は佐藤忠男が見てきた中国映画をまとめたもの。

基本的には紹介や印象論にとどまっていて、詰めが甘いと思われる部分はあるものの、佐藤忠男の見てきた映画の量は圧倒的です。見てみたい作品が増えました。

ただ、文芸的といわれるような作品の紹介に偏り、娯楽作品はかなり軽視されているような印象を受けました。「香港映画を娯楽一辺倒」と評する点などは、若干違和感を持ちます。

陈正道《催眠大师》

《催眠大师》は陈正道監督による2014年の映画。

精神科医师徐瑞宁(徐峥)は「睡眠療法」によって様々な精神病を治療することに長けています。性急に病気を治そうとするので、「催眠大师」と称されています。徐瑞宁は、香港から来た患者・任小妍(莫文蔚)の治療を任せられます。任小妍は幽霊が見えると語ります。多くの精神科医が任小妍の治療に取り組みましたが成功しませんでした。徐瑞宁は睡眠療法で任小妍の心の中に分け入り、任小妍が孤児であること、そして未婚の夫(王耀庆)との離別が大きな問題をもたらしていると探り当てますが・・・
サイコスリラー映画。

徐瑞宁(徐峥)と任小妍(莫文蔚)の対決が物語の軸になっています。予想を裏切るようなどんでん返しが待っています。非常に見ごたえがあります。

ホラー映画の技術などが活用されています。人を不安にさせるような音楽の使い方が巧みだと感じました。

しかし、最終的には全て辻褄が合うことになります。脚本がよく考えられていると感じました。


《催眠大师》(2014■陈正道■徐峥、莫文蔚、吕中、胡静■)

王晶《整蛊专家》

《整蛊专家》は王晶監督による1991年の映画。

胡征(周星驰)は金銭をもらって人を陥れるプロである。一方、车文杰(刘德华)は真面目な社員だ。车文杰のもとに同僚として程乐儿(关之琳)があらわれる。程乐儿は会社の社長・程运涛の娘だが会社の実情を知るため、そのことを隠して働いている。车文杰と程乐儿は魅かれ合う。そのため、程乐儿の元彼氏・金麦基は胡征に车文杰を陥れるよう依頼する。胡征は车文晶という偽りの名前で、车亲仁(吴孟达)・车文杰親子のもとに突如現れて、自分は车亲仁の私生児だと告げる。胡征は车文杰と程乐儿の恋愛を妨害するが、その度に失敗する。その過程で、胡征は乐儿の親友・巴娜娜(Banana・邱淑贞)に惹かれる。胡征は最終的に、日本の会社との契約を失敗させて车亲仁・车文杰親子を退社に追い込む。しかし、胡征は车亲仁・车文杰の温かさを感じて反省、、巴娜娜の手配で车亲仁・车文杰に謝罪する。さらに、胡征は车文杰と程乐儿の仲を取り持とうとする。金麦基は程乐儿と婚約して、さらに他の人を陥れるプロ(程东)を雇い、车文杰を殺そうとする。しかし、胡征、车亲仁、车文杰は敵を打ち負かして车文杰と程乐儿は遂に結ばれる。その後、胡征が本当に车亲仁の私生児だと分かる。

コミカルな香港映画。

物語は、车亲仁(吴孟达)・车文杰(刘德华)と胡征(周星驰)の疑似家族の関係、车文杰(刘德华)と程乐儿(关之琳)の恋愛をめぐって展開していきます。

刘德华と周星驰が共演しています。刘德华が周星驰に促されるようにしてコミカルな場面を演じている点が印象に残ります。二人で音の外れたミュージカルを始める場面などは、失笑を誘います。

そして、周星驰・吴孟达コンビの圧倒的な破壊力も見ていて楽しいです。ひたすらふざけています。

また日本との関係に関してもだいぶブラックなジョークのネタとなっています。


《整蛊专家》(1991■王晶■刘德华、周星驰、吴孟达、关之琳、邱淑贞、程东)